今日の見出し(2020.06.03)

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明日6月4日は、第1次世界大戦の講和条約であるトリアノン条約調印からちょうど100年。この条約により、ハンガリーは領土の3分の2を失い、現在の近隣諸国には多くのハンガリー人が取り残されることになりました。トリアノンは今でもハンガリー人のほとんどが悲劇、不公正だったと考えています。(末尾参照)

現政権は2010年以来、こうした「国境外ハンガリー人」との結束や民族アイデンティティの強化を推し進めており、本年は、ハンガリー民族結束の年としています。そのため、各種の記念事業が行われているほか、テレビやネットでは政府広報が流れ、街中には巨大看板も設置。明日は国会でも記念行事が行われます。

ブダペスト市のカラーチョニ市長は、明日、1分の黙とうを提案していますが、これに対して与党政府の反応は冷ややか。支持はしていません。

市長の提案により、ブダペスト公共交通(BKV)は16時半から1分停止する予定。市長はまた、自動車運転手、歩行者なども止まって過去を振り返ることを要請しています。

市長も同条約は「酷く不公平」という立場を表明しているものの、「遠い過去の、そして近年の誤った決定は直視しなければならない。過去の傷を隠すのではなく未来に生かさなければならない。 (中略) 痛みは憎しみに変えてはならない。過去を直視することは未来をあきらめることではない」としています。

しかし、皮肉にも国内のハンガリー人は結束できず。与党政府は市長の提案に冷ややかな反応で支持はしていません。野党「対話」が全国でも同様の1分の黙とうを提案しましたが、国会も政府も応じませんでした。

逆に、野党民主連合(DK)も本日、Fideszが国会で行う「ハンガリー民族間分裂のトリアノン記念行事には参加しない」と表明。

国会は明日、クヴェール国会議長とアーデル大統領がスピーチを行った後、「民族アイデンティティ保護」に関する政治声明を採択する見込みです。本会議では、声明案提出者の説明はありますが、野党を含め質疑応答の時間は設けられていないとのこと。

新型コロナウィルスの感染確認累計(3日)は3,931人 (先月29日比90人増)。死者は534人(17人増)、回復は2190人(166人増)。

現在の感染者数は1,207人(93人減)。

クロアチアは先月28日から、ハンガリーを含む近隣8か国国民の入国を制限なしで可能に。しかし政府対策本部の本日の記者会見によると、ハンガリー国民は帰国したら14日間の強制検疫とのこと。

=コロナ感染状況=

・感染状況(26日)
・感染状況の推移(グラフ)
・1日あたりの新規感染、回復、死亡数
・ブダペストと地方の比較

=コロナ関連情報=

=内政・外交=
● 国会、気候変動に関する法案を採択  野党らは骨抜きにしたと批判
● 国防軍、8~10校の士官学校を設立へ
● エゲル市長、Jobbikを離党

=経済・金融・産業=
● 新車販売(5月)乗用車は52%減
● グリーン国債、15億ユーロ発行 応札倍率5倍超に

=経済指標=
● ハンガリー製造業購買担当者指数 PMI (5月) 4月から回復、ただし5月としては過去最低

■■トリアノン条約 ハンガリー人94%は不当だったと
事実を正確に把握している人は僅か7%

トリアノン条約調印100年を迎えるにあたり、ハンガリー科学アカデミーが標本調査を実施しました。

それによると、94%が条約は、不公正で行き過ぎだったと回答しました。また、77%は、国はこのトラウマからまだ完全に回復できていないと考えていました。

一方で調印の年月日、失った領土の割合など事実をすべて正確に答えられたのは僅か7%でした。
・調印の年が1920年と答えられた人: 43%
・調印日が6月4日と答えられた人: 30%

・領土については、
どれだけ失ったか答えられなかった人: 10%
実際より少なく答えた人: 54%
実際より多く答えた人: 5%
ほぼ事実と同じ程度を答えた人: 31%
調査では、条約にまつわる諸々の流説についても質問。回答者の3分の1は「100年後に条約失効」という説を信じていました。一方、それは間違いときちんと回答できた人は54%でした。

一方、国境外ハンガリー人については、72%がハンガリー文化伝統をよりよく継承していると考えていました。
また、国境外ハンガリー人に対する二重国籍付与(ハンガリー国籍付与。現政権が制度を大幅に緩和)は70%が支持。しかし現政権が行った投票権の付与については、58%が不支持でした。

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