号外(16日夕方以降のデモについて)

以下は、ブダペスト市内での16日夕方以降ののデモについて、本日朝(17日)にご購読者向けに配信した内容です。

昨日のデモは国営MTVAへ 野党議員ら、嘆願書読み上げ求めるも叶わず

ブダペスト市内では、昨日も夕方から深夜にかけて反政府デモが開かれました。最後は国営テレビ局の入るMTVA本社屋へ。そこで再び催涙ガス使用など緊張が増幅。参加人数は数千人 (ロイター通信によると約1万人) で、残業時間上限の引き上げ法案がらみでデモが発生して以来、最大となりました。

MTVAでは、野党議員らが5点からなる嘆願書の放送を求め建物内に入ったものの、聞き入れられず、そのまま中で夜明かし。今朝8時前、ハドハーズィ議員とセール議員(ともに元LMP共同党首)が強制的に外に出されました。

一方、9時現在、MTVA職員を含め、館は完全に出入り禁止となっています。国営メディア、政権寄りメディアはデモの扱いは矮小化、または扱う際は、暴力的、キリスト教冒涜、ソロス一味の仕業と強調している。

本日月曜も、デモは続く見込み。

以下は、昨日の動きのまとめ、および今朝の動きです。また、最後に、政権寄りメディアの論調を簡単にお伝えします。

【16日の動き】
● 15時から、「メリークリスマス、首相閣下!」と嫌味が込められた反政府デモが英雄広場でスタート。アルコトマーニ通りまで行進。残業上限引き上げ法(実際には労働法典を改正するもの)の廃止、欧州検察庁への参加、司法の独立、教育の自由、「政権プロパガンダ」とされる政権寄りメディアへの反対などが叫ばれた。

● 参加は数千人。最大労組MaSzSzも参加を呼び掛けた。独立系hvg.huによると、残業時間上限法を発端にしたデモとしては、これまでで最大。また、この春の議会選挙後の反政府デモ以来、最大となった。労組代表者、元裁判官、各野党議員(特に女性)らが演説。

● 公式プログラム終了後、集団はコシュット広場から再び街中へ。非議会政党「モメントゥム」はMTVA(ブダ側3区)へ先導。一方、急進右派Jobbikは鎖橋へ先導、その後バッチャーニ広場(ブダ側)から近郊電車に乗りMTVAへ向かう集団と合流。MTVA前には推計2000-3000人が結集した。

● MTVA前では抗議者らが機動隊の列に物を投げ、機動隊側は催涙ガスで応酬というパターンが繰り返され、緊張が高まる。

● 21時頃、野党議員13人がようやく、以下の5点からなる嘆願書の生放送を求め建物内に入った。(しかし放送は17日9時現在、まだできていない)

<5つの要求>
・残業上限時間引き上げ法案の即時撤回
・警察官の残業時間の削減
・裁判所の独立の復活(「Fidesz支配の裁判所はいらない」)
・欧州検察庁への参加
・政権に支配されないメディアの独立性の確保(政権プロパガンダメディアの拒否、恣意的な偽ニュース大量製造のMTVAトップ、パップ・ダーニエル氏の即更迭)

議員らは、社会党、Jobbik、LMP、対話、無所属ら。(議員はこのような場合、入館する権限を持つ。一方、モメントゥムは非議会政党のため、党首は入館できなかった。さらに、Jobbik離党者らで結成した「我々の祖国」議員らは、もともと国会前のクリスマスツリー周辺のそりを投げるような暴力行為はキリスト教冒涜と反対し、一連のデモには参加していない)

● MTVA前の集団は、24時過ぎに解散。

【 17日の動き 】
● 議員らの一部は、ラジオ放送(Kossuth rádió)の前で、また残りはテレビ放送の4番スタジオ前で放送を要求し、MTVA内で夜を明かした。しかし受け入れられず。セール議員によると、編集幹部と会うこともかなわず、代わりに警備員に見張られる。

● 朝8時前、まずハドハーズィ議員が、その後セール議員が警備員に抱えられ強制的に館外に連れ出される。
追い出されたシーン、その前の様子などは、セール議員がFacebookでライブ動画配信

セール議員は国会議員にこんなことをするなんて信じられない、とし、「たった5点からなる嘆願書を読もうとしただけで、(館内)で乱暴を働いたり、挑発したりしたわけではない」と泣きながら述べた。

● 館内にはまだ議員が残っている。ウィヘィ議員(社会党)によると、9時現在、館内には少なくとも武器を携行した警察官が30-40人、その他一般の警備員が20-30人。

【 政権寄りメディアの報道ぶり 】
● 今朝6時の国営テレビM1チャンネルのトップニュースは、国会議員が館内に入り夜明かししたという前代未聞の出来事についてではなく、「ここ数日、欧州で移民反対の政権に対する抗議デモが激しくなっている。ローマやウィーンでも人々が反政府デモで街を歩いた」だった。

● その他、政権寄りメディアは、これまでのデモについては扱いが小さかった。しかし、全国日刊紙の2紙Magyar Idők Magyar Hírlapは本日は、1面で報じ、デモ参加者を強く非難する論調が目立ってきた。 いずれも、ソロス一味がしている仕業、キリスト教冒涜、デモを行う権利はあるが暴力をふるう権利はないというものである。

(hvg、index、444、M1)

以上

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